相続した空き家、貸すという選択はあり?
売るだけではない「実家の活かし方」をやさしく考える
親が亡くなって実家が空き家になったとき、多くの方はまず「売るか、そのまま持つか」を考えます。
けれども、選択肢はそれだけではありません。
貸すという方法もあります。
特に、
「思い出のある家だから、すぐ売るのはためらう」
「将来どうするかはまだ決めきれない」
「持っているだけではもったいない気がする」
という方にとって、空き家を貸すことは気になる選択肢だと思います。
ただし、ここで大事なのは、空き家は“家があるからそのまま貸せる”とは限らないということです。
貸せる家もあれば、貸す前にかなり整理が必要な家もあります。
また、貸すことには、売るのとは別の手間や責任も出てきます。
ですから、空き家を貸せるかどうかは、「貸したい気持ちがあるか」だけでなく、その家が貸せる状態か貸した後の管理をどうするかまで含めて考える必要があります。
実例 「もったいないから貸そう」と考えたケース
たとえば山形で、親から実家を相続した方がいたとします。
家は築年数がたっていましたが、建物自体はまだしっかりしていました。
子どもたちは県外在住で、自分たちが住む予定はありません。
ただ、「売るのは惜しい」「空き家のままにしておくのももったいない」という思いがあり、貸すことを考え始めました。
最初は、「家があるのだから、家賃をつければすぐ貸せるだろう」と思っていました。
ところが、実際に見直してみると、
荷物が多く残っている、
設備が古い、
冬の管理をどうするか分からない、
という問題が次々に出てきました。
つまり、空き家を貸すには、“ある家”を“貸せる家”にする作業が必要だったのです。
この点は、多くの方が最初に見落としやすいところです。
空き家を貸すこと自体は十分ありえる
まず前提として、空き家を貸すこと自体は、もちろん十分ありえる選択です。
実家をそのまま眠らせるより、誰かに住んでもらったほうが家は傷みにくくなりますし、家賃収入も見込めます。
また、「今すぐ売る決心はつかないが、完全な放置にはしたくない」という場合にも、貸すことは一つの中間的な答えになります。
特に、
・立地が悪くない
・建物の状態がまだよい
・水回りや設備が最低限使える
・地域に賃貸需要がある
といった条件がそろえば、貸す方向で考える意味はあります。
つまり、空き家を貸すかどうかは、気持ちの問題だけでなく、家と地域の条件を見ることが大切なのです。
まず見るべきは「そのまま貸せる状態かどうか」
空き家を貸すときに最初に確認したいのは、そのまま貸せる状態かどうかです。
たとえば、
・雨漏りはないか
・給湯器や水回りは使えるか
・玄関や窓、鍵は大丈夫か
・床や壁に危険はないか
・荷物はどのくらい残っているか
こうした点は基本になります。
売却であれば、多少古くても「現状のまま」で話が進むことがあります。
でも賃貸では、借りる人が実際に住むことになるため、安全に暮らせるか日常生活ができるかがより強く問われます。
ですから、空き家を貸す場合は、売るよりも“使える状態”が求められると考えたほうが分かりやすいです。
貸す前にお金がかかることもある
ここで気をつけたいのが、貸せばすぐ収入になるとは限らないことです。
実際には、貸す前に一定の費用がかかることがあります。
たとえば、
・残置物の整理
・ハウスクリーニング
・最低限の修繕
・設備交換
・管理委託の準備などです。
つまり、貸す=今すぐプラスになると考えると、少しずれやすいのです。
むしろ、最初はある程度整えるお金と手間が必要になることも多いです。
そのため、空き家を貸すか考えるときは、「家賃がいくら取れるか」だけでなく、「貸せる状態にするまでに何が必要か」も一緒に見たほうが現実的です。
貸した後は「管理」が続く
もう一つ大切なのは、貸すと売るのと違って、家を手放すわけではないということです。
つまり、貸した後も、所有者としての責任や管理は続きます。
たとえば、
・設備が壊れたとき
・入居者から相談があったとき
・退去時の原状回復
・家賃管理
・近隣との関係
など、賃貸には継続的な対応が出てきます。
近くに住んでいればまだ動きやすいですが、県外在住の場合は、「いざというとき誰が対応するのか」が大きな問題になります。
そのため、空き家を貸すなら、自分で管理するのか管理会社に任せるのかも最初に考えておく必要があります。
空き家を貸すのが向く人、向かない人
空き家を貸すのが向きやすいのは、
・すぐ売るつもりはない
・建物の状態がまだよい
・地域に一定の賃貸需要がある
・貸した後の管理方法を考えられる
・多少の手間をかけても残したい理由がある
という場合です。
反対に、向きにくいのは、
・建物の傷みがかなり進んでいる
・修繕費をかける余裕がない
・遠方で対応が難しい
・相続人同士で早く現金化したい
・将来の管理負担を増やしたくない
という場合です。
つまり、貸すかどうかは、家の状態と所有者側の事情の両方で考える必要があります。
「貸せるか」より先に「貸したい理由」を整理する
空き家の相談で意外に大切なのが、なぜ貸したいのかを整理することです。
たとえば、「すぐ売る気持ちになれない」「家を残したい」「収入にしたい」「空き家のままにしたくない」など、理由はいろいろあります。
この理由がはっきりすると、本当に貸すのが合っているのか、一時的に持って様子を見るほうがいいのか、売却のほうが楽なのか、が見えやすくなります。
何となくもったいないから貸す、だけだと、後で「こんなに手間がかかると思わなかった」となりやすいので、ここは大切です。
まとめ
相続した空き家を貸すことは、十分ありえる選択です。
売るだけでなく、残しながら活かす方法として考えることもできます。
ただし、空き家はそのままある家と人に貸せる家が同じとは限りません。
貸す前には、状態確認、整理、修繕、管理方法の検討が必要になることがあります。
ですから、空き家を貸せるかどうかは、家の状態地域の需要貸した後の管理ができるかを一緒に見て考えることが大切です。
空き家は、売るか、放置するか、の二択ではありません。
けれども、貸すこともまた、思ったより現実的な準備が必要です。
「貸せるか」だけでなく、貸したあとまで無理なく続けられるかまで考えてみると、後悔しにくい選び方がしやすくなると思います。

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