· 

空き家を貸すなら家賃はいくら? 高すぎても安すぎても困る、家賃の決め方

 空き家を貸すなら家賃はいくら?

 高すぎても安すぎても困る、家賃の決め方

 

 相続した実家や空き家を貸そうと考えたとき、多くの方がまず悩むのが、「家賃はいくらにすればいいのか」ということです。

 売却なら「いくらで売れるか」が気になりますが、賃貸では「毎月いくらなら借りてもらえるか」が問題になります。

 しかも家賃は、一度決めると後から簡単には上げにくいものです。

 だからこそ、最初の設定はとても大切です。

 

 とはいえ、一般の方にとって家賃の相場は分かりにくいものです。

 自分では「これだけ広いのだから、このくらい」「思い出のある家だから、安くしたくない」と思っていても、市場ではまったく別の見方をされることがあります。

 そのため、家賃を決めるときは、

 “自分がいくら欲しいか”ではなく、“借りる人がいくらなら借りたいと思うか”で考えることが基本になります。

 

 実例 「この広さなら高く貸せる」と思っていたケース

 たとえば山形で、親から相続した実家を貸そうと考えた方がいました。

 建物は少し古いものの、部屋数も多く、敷地にもゆとりがあります。

 家族としては、「今のアパートよりずっと広いのだから、それなりの家賃で貸せるはず」と考えていました。

 けれども、実際に話を聞いてみると、借り手が見るのは広さだけではありませんでした。

 築年数、水回りの古さ、駐車場の使いやすさ、生活動線、冬の管理のしやすさ、周辺で比較される賃貸物件との関係など、いろいろな条件をまとめて見られていたのです。

 つまり、売主・貸主側が感じる「広くて立派な家」と、借りる側が感じる「家賃に見合う家」は、必ずしも同じではないのです。

 

 家賃は「広さ」だけでは決まらない

 家賃というと、つい「広いほど高い」「部屋数が多いほど高い」と思いがちです。

 もちろん、それも一つの要素ではあります。

 でも実際には、家賃はもっといろいろな条件で決まります。

 たとえば、・場所・築年数・建物の状態・水回りの新しさ・駐車場の有無・周辺の賃貸需要・近くに競合物件があるかなどです。

 特に一戸建ての空き家は、アパートやマンションと違って「似た物件」が少ないため、単純に比べにくいことがあります。

 だからこそ、感覚だけで決めず、周辺の賃貸状況を見ながら考える必要があります。

 

 一番多い失敗は「高くつけすぎること」 

 空き家の家賃設定で一番よくある失敗は、高くつけすぎることです。

 貸主としては、

「固定資産税もある」

「管理の手間もある」

「せっかく貸すのだから、なるべく高くしたい」

 と考えるのが自然です。

 相続した実家なら、「親の家をそんなに安く貸したくない」という気持ちも出やすいです。

 でも、家賃が相場より高いと、そもそも問い合わせが入りにくくなります。

 そして、空室期間が長くなると、結局は家賃収入が入らない時間が増えてしまいます。

 つまり、高い家賃を目指しすぎることが、かえって損になることがあるのです。

 ここは、売却価格の考え方とよく似ています。

 

 安すぎてもよくない理由

 では、早く借りてもらうために安くすればいいのかというと、それも単純ではありません。

 安すぎると、「何か問題がある家なのでは」と見られることもありますし、後から家賃を上げるのは簡単ではありません。

 また、貸し始めてからは、修繕費や管理費、固定資産税などが続きます。

 そのため、家賃を安くしすぎると、「貸しているのに、思ったほど手元に残らない」ということも起こります。

 つまり家賃は、高すぎても空室リスク安すぎても収支リスクがあるため、ちょうどよいところを探る必要があるのです。

 

 家賃は「理想」ではなく「募集条件」で考える

 ここで大切なのは、家賃を最終的な希望額ではなく、募集条件の一部として考えることです。

 たとえば、少し高めに設定するなら、設備や条件を整える必要があるかもしれません。

 逆に、建物が古いなら、その分家賃で調整するという考え方もあります。

 

 また、家賃だけでなく、

・敷金

・礼金

・駐車場の扱い

・ペット可にするか

・現状のまま貸すかなど、

 全体の条件で魅力を出す方法もあります。

 

 つまり、家賃だけで勝負するのではなく、借りやすい条件全体で考えるほうが、空き家賃貸では現実的です。

 

 「毎月いくら欲しいか」から逆算しすぎない

 貸主の立場になると、どうしても「最低でも毎月これくらいは欲しい」と考えたくなります

 もちろん、それ自体は大切な感覚です。

 ただ、そこから逆算しすぎると、相場とかけ離れた家賃になってしまうことがあります。

 市場が受け入れる家賃と、自分が欲しい家賃が一致しないことは珍しくありません。

 そのとき大事なのは、その家賃で本当に借り手がつきそうかを優先して考えることです。

 借り手がつかなければ、家賃はゼロです。

 ですから、理想額より、まずは動く金額を知ることが先になります。

 

 家賃を決める前に見ておきたいこと

 空き家の家賃を考える前に、最低限見ておきたいのは次の点です。

・周辺で似たような物件はいくらか

・その家は今のままで貸せるのか

・修繕するとしたらどこまで必要か

・駐車場や庭など、戸建てならではの条件はどうか

・貸した後の管理をどうするか

 

 特に一戸建ては、アパートのように一律の相場表で見にくいので、その家を借りる人は誰かを考えると、家賃の見え方が変わりやすいです。

 ファミリー向けなのか、二人暮らし向けなのか、車を使う人向けなのか、そこが大事です。

 

 まとめ

 空き家を貸すときの家賃は、広さだけでも貸主の希望だけでも決まりません。

 場所、築年数、設備、駐車場、需要、周辺物件との比較など、いろいろな条件で決まります。

 そのため、家賃を決めるときは、高すぎて動かない安すぎて後で苦しいこの両方を避けることが大切です。

 特に空き家の賃貸では、「いくら欲しいか」よりも、「いくらなら借りてもらえそうか」で考えるほうが現実的です。

 相続した実家は、思い入れがあるぶん、どうしても高く見たくなるものです。

 でも賃貸では、借りる人が納得する条件かどうかがすべてです。

 だからこそ、最初の家賃設定は、感情だけで決めず、市場の目線を入れて考えることがとても大切だと思います。