掛け捨ては損、貯蓄型は得、と決めつけると保険選びを誤りやすい。
保険の相談で非常によく聞くのが、「掛け捨てはもったいない」「どうせ入るならお金が戻るものがいい」という言葉です。
気持ちはよく分かります。
毎月保険料を払うなら、何もなかった時に少しでも戻ってきた方が得に見えますし、「掛け捨て」という言葉自体に、どこか損をするような印象があります。
しかし、ここに保険選びの大きな誤解があります。
保険は本来、貯金ではなく、家計では吸収しにくい大きな損失に備えるための仕組みです。
つまり、役割の中心は「増やすこと」ではなく「守ること」にあります。
掛け捨て型は、一定期間の保障に特化している分、同じ保障額なら保険料を抑えやすい傾向があります。
子育て中で、万一の時に大きな死亡保障が必要な家庭では、必要な時期だけ厚く備えるという考え方に向いています。
一方、貯蓄型や終身型には、解約返戻金や満期金があることが多く、「戻る安心感」があります。
ただし、戻るということは、その分、日々の保険料負担が重くなりやすいということでもあります。
ここを理解しないまま「戻るから得」と考えると、家計全体を見た時に無理が生じます。
実例として多いのが、子育て世代の保険料過多です。
たとえば30代後半の夫婦で、子どもがまだ小さい家庭があるとします。
本来なら、教育費と住宅費が重なる時期ですから、手元資金の柔軟性がとても重要です。
ところが、「掛け捨てはもったいないから」と言われて終身保険や返戻金のある保険をいくつも組み合わせ、毎月の保険料が高くなってしまうことがあります。
その結果、学資積立や生活防衛資金に回すお金が減り、いざ車の買い替えや教育費の出費が来た時に現金が足りなくなる、という本末転倒な事態が起きます。
また、貯蓄型保険には「途中でやめると損をしやすい」という特徴があります。
長期間続けてこそ設計どおりになるものが多いため、途中で家計が苦しくなって解約すると、思ったほど戻らないことがあります。
つまり、「戻る保険を選んだはずなのに、途中でやめたらあまり戻らなかった」ということも十分あり得るのです。
これは、保険を“得する商品”として見過ぎた結果ともいえます。
もちろん、貯蓄型の保険が悪いわけではありません。
相続対策や老後資金準備、強制的に積み立てたいという性格の人には向く場合もあります。
ただし、それは「目的に合っているからよい」のであって、「掛け捨てより得だからよい」わけではありません。
逆に、必要保障を安く確保したい時期には、掛け捨て型の方が合理的なことも多いのです。
保険は、損得だけでなく、役割で考えるべき商品なのです。
保険選びで本当に大事なのは、「戻るかどうか」ではなく、「何に備えるのか」「そのために毎月いくらまで負担できるのか」です。
掛け捨ては損、貯蓄型は得、という二択ではなく、保障は保障、貯蓄は貯蓄と役割を分けて考えると、保険はぐっと選びやすくなります。

コメントをお書きください