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高額療養費制度を知らないと、医療保険をかけすぎやすい

 高額療養費制度を知らないと、医療保険をかけすぎやすい

 

 医療保険の相談では、「入院したらいくらかかるのか分からないから不安」   

 「大病になった時に家計がもたないのではないか」という声がよく聞かれます。

 たしかに、病気やけがは突然起こりますし、医療費の不安はとても現実的です。

 ただ、日本の医療制度には公的医療保険があり、さらに高額療養費制度によって、1か月の自己負担額には一定の上限が設けられています。

 つまり、民間医療保険を考える前に、まず公的制度でどこまで守られているかを知ることが大切です。

 厚生労働省も、高額療養費制度により自己負担限度額を超えた分が支給されることを案内しています。

 

 この制度を知らないまま医療保険を考えると、不安が先行して「とにかく厚く」「なるべく多く」と契約しがちです。

 入院日額を高くしたり、複数の医療保険に重ねて入ったりして、毎月の保険料が家計を圧迫することがあります。

 しかし実際には、公的制度でかなりの部分がカバーされるケースも多く、「思っていたほど自己負担は膨らまなかった」ということも少なくありません。

 

 実例として、60代前半の夫婦が「がんや心臓の病気になったら怖い」と考え、夫婦それぞれ医療保険を二重三重に持っていたケースがあります。

 毎月の合計保険料はかなりの額でしたが、入院した際に高額療養費制度を使ってみると、医療費そのものの自己負担は想像より抑えられていました。

 むしろ家計を圧迫していたのは、長年払い続けてきた医療保険料の方だった、という見方もできます。

 もちろん、だから医療保険が不要というわけではありません。

 差額ベッド代、先進医療、通院交通費、入院中の家族の負担、働けないことによる収入減など、公的制度では埋まらない部分もあります。

 大切なのは、そこを理解した上で、不足する部分だけを民間保険で補うことです。

 制度を知らずに“丸ごと不安”へ保険をかけると、保障は厚くなっても、家計全体の効率は悪くなりやすいです。

 

 また、高齢になるほど医療保険への不安は強くなりますが、その頃には貯蓄や年金、公的制度のバランスも踏まえて考える必要があります。

 若い頃と同じ感覚で医療保険を増やしていくと、結果として「毎月の保険料の固定費」が老後家計を重くすることもあります。

 医療保険は安心をくれる商品ですが、安心を買いすぎると今度は家計の不安を生む、という少し皮肉な面もあります。

 医療保険を選ぶ前に、公的制度を知る。これは地味ですが、実務上とても大切な順番です。

 

 医療保険は、不安の大きさで決めるのではなく、公的制度で足りない部分を見つけて補う。

 この考え方が、入りすぎを防ぐ一番確かな方法です。