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法人が従業員向けに“就業不能保障保険を契約し、給与補填と損金化を両立する方法

 「法人が従業員向けに“就業不能保障保険を契約し、

  給与補填と損金化を両立する方法」

  ―“働けなくなったときに会社と社員を守る、実務的節税策

 

1.背景:

 近年、中小企業でも「経営者・従業員の働けなくなるリスク」への備えが注目されています。

 病気やケガで長期休業となれば、給与の支払い・代替人材の確保・生産性低下など、会社にも社員にも大きな負担。

 ここで有効なのが、就業不能保障保険(所得補償保険)を法人契約で導入する方法です。


 この保険は、従業員が病気・事故で働けなくなった際に、法人または本人へ一定期間、所得を補償するもの。

 福利厚生の一環として加入すれば、保険料を損金処理しつつ、従業員の安心感を高めることができます。

 

2.スキーム概要

項目

内容

契約者

法人(会社)

被保険者

従業員・役員

受取人

法人(または本人)

保険料負担

会社が全額負担(福利厚生目的)

給付条件

病気・ケガで一定期間就業不能になった場合

 

 

3.節税のメカニズム

  • 法人が支払う保険料を福利厚生費として損金算入できる。
  • 従業員や役員が就業不能となった場合、保険金で給与補填が可能。
  • 受け取る給付金が「医療・生活補償」にあたる場合、個人側は非課税扱いとなる。→ 結果的に、法人税・所得税の双方で実質的な税負担軽減が実現。

4.導入の主目的(正当な合理性)

  • 従業員の生活保障:長期療養時の所得減少を防ぎ、安心して復職できる。
  • 経営リスク軽減:代替要員の確保や業務停滞への備え。
  • 福利厚生充実による採用・定着効果。
  • 損金算入による法人税軽減。

5.契約設計のポイント

  • 保険金受取人は法人に設定し、会社から従業員へ給与補填する形式が基本。
  • 補填額=給与の50〜70%程度が適切(過大だと給与扱い)。
  • 給付期間は最長2年程度が目安(長期になると年金扱いの可能性)。
  • 契約目的を明記:「従業員の就業不能時における生活補償と事業継続のため」。
  • 福利厚生規程に反映しておく(加入目的を会社方針として明文化)。

6.税務処理の考え方

項目

税務上の扱い

保険料支払時

福利厚生費として損金算入可

保険金受取時(法人受取)

雑収入として計上 → 給与補填として支給すれば損金再算入

保険金受取時(個人受取)

原則非課税(生活補償目的の場合)

 

 

 このように、実質的に「損金処理→給付→損金再算入」という構造で、節税効果が二重に発生します。

 

7.導入事例(山形市・食品製造業G社)

 G社では、製造現場の主任が腰の手術で半年間休業。

 法人契約の就業不能保険から、月額15万円×6か月=90万円が支給され、会社が給与補填金として本人に支給。
 保険料は福利厚生費として損金処理済、給付金も業務補填の性格が明確なため、非課税扱い。

 結果:社員・会社ともに経済的ダメージを最小化。

 

8.導入時に整備すべき書類

 就業不能保険導入セット

① 保険契約書・設計書・払込証明書

② 福利厚生規程(就業不能補償条項を追加)

③ 取締役会議事録(導入理由・対象範囲)

④ 従業員通知文・同意書⑤ 給付金支給記録(支給日・金額・理由)

 これらを整備しておくことで、税務上も完全に「福利厚生目的」と説明可能になります。

 

9.メリットと注意点の整理

メリット

注意点

保険料の損金化

被保険者が経営者一族のみだと否認リスク

給与補填資金の確保

給付額が給与水準を超えると課税対象

福利厚生の強化

規程・議事録の整備が必須

税務上も説明可能

解約返戻金処理を失念すると追徴リスク

 

 

10.まとめ:「人を守る保険は会社も守る」

  • 福利厚生目的で合法的に損金算入可。
  • 就業不能時の給与補填を制度化できる。
  • 会社の経営安定+従業員の安心を両立。
  • 節税効果は“副産物として自然に発生。

 つまり、就業不能保険は単なる節税策ではなく、「経営の持続性を高める社会的に正しい保険」です。

 税務署にも堂々と説明できる、“攻めの福利厚生といえます。

 

アドバイス

  • 福利厚生規程に「就業不能補償制度」を追加しておく。
  • 給付金支給時の社内フローを明文化(稟議書・支給決定書)。
  • 保険料の見直しは毎年決算時に行い、経費バランスを調整。