住宅ローンは年収だけでは決まらない
見落としやすい「信用情報」の話
年収600万円で、借金もなく、勤続年数も10年以上。
こうした条件がそろっていると、「このくらいなら住宅ローンは通るだろう」と考える方は多いと思います。
実際、収入や勤続年数は大事な判断材料です。
けれども、それだけで安心できるわけではありません。
住宅ローンの審査では、今の年収や勤務先の安定性だけでなく、これまでのお金の払い方も見られます。
そこで意外と落とし穴になりやすいのが、「信用情報」です。
自分ではすっかり忘れていた昔の支払い遅れが、思わぬ場面で影響することがあります。
とくに注意したいのが、スマートフォンの端末代金の分割払いです。
毎月の携帯料金の一部のように感じている方も多いのですが、端末代の分割払いは、実はクレジット契約に近い扱いになります。
つまり、単なる通信費ではなく、「分割で買ったものを毎月返済している」という見方になるわけです。
そのため、口座残高不足などで引き落としができなかった場合、支払い遅れとして信用情報に登録されることがあります。
自分では「たまたま引き落としができなかっただけ」「数千円くらいだから大丈夫だろう」と思っていても、金融機関から見ると、約束どおりの支払いができなかった履歴として見られることがあるのです。
CICでは、契約に関する情報は契約中および終了後5年以内、申込情報は6か月保有すると案内しています。
最近のスマートフォンは本体代も高く、10万円を超える機種も珍しくありません。
月々の負担は小さく見えても、支払いが数か月遅れると、住宅ローンの場面では決して軽く見られないことがあります。
いわゆる「ブラックリスト」という言い方を耳にすることがありますが、正式には信用情報機関に延滞や異動の情報が登録される状態です。
完済したらすぐ消えるわけではなく、一定期間は記録が残るため、住宅ローンの申込み時期によっては影響することもあります。
JICCも信用情報の開示手続きを案内しており、本人が自分の登録内容を確認できます。
一方で、これとは逆に「何も借りたことがない」ことが、少し不利に働く場合もあります。
クレジットカードを作らず、ローンも組まず、ずっと現金主義でやってきた方は、とても堅実に見えます。
実際、それ自体は悪いことではありません。
ただ、金融機関からすると、信用情報に履歴がほとんどないと、「この人がきちんと返済していくかどうか」の判断材料が少なくなってしまいます。
このような状態は、俗に「スーパーホワイト」と呼ばれることがあります。
もちろん、これだけで審査に落ちると決まっているわけではありませんが、過去の実績が見えにくい分、慎重に見られることがあります。
住宅ローンは長い付き合いになる契約なので、銀行もできるだけ確かな材料を集めたいのです。
では、どうすればよいのでしょうか。
まずおすすめしたいのは、住宅ローンを申し込む前に、自分の信用情報を一度確認しておくことです。
CICやJICC、全国銀行個人信用情報センターなどでは、本人開示の仕組みが用意されています。
費用もそれほど高くはなく、自分の情報を事前に把握しておけるのは大きな安心材料になります。
全国銀行個人信用情報センターも、本人開示の方法を案内しています。
もし過去の支払い遅れが残っているなら、記録が消える時期を見てから申し込むほうが安全なことがあります。
反対に、履歴があまりにも少ない場合は、少額のクレジット利用で実績を作る方法もあります。
たとえば、クレジットカードで光熱費や通信費を支払い、毎月きちんと引き落とされる状態を続けることです。
半年から1年ほどでも、きちんとした利用実績として積み上がっていきます。
ここで大切なのは、「たくさん借りること」ではありません。
少額でも、遅れずに払い続けることです。
住宅ローン審査では、派手な数字よりも、地道で安定したお金の使い方が見られています。
人はどうしても、「今の収入があるから大丈夫」と考えがちですが、金融機関は「これまでどう支払ってきたか」をかなり丁寧に見ています。
この感覚の違いが、思わぬ審査落ちにつながることがあります。
住宅購入は大きな夢でもあり、大きな決断でもあります。
物件選びや資金計画に目が向きがちですが、その前に、自分の信用情報という見えない土台を整えておくことが大切です。
年収や勤続年数に自信がある方ほど、「まさか自分が」と思いやすいものです。
だからこそ、事前の確認が役に立ちます。
家を買う準備は、頭金をためることだけではありません。
自分のお金の履歴を整えることも、その一つです。
住宅ローンの申込みを考えている方は、まずは一度、自分の信用情報を確認してみてはいかがでしょうか。
それだけでも、安心して次の一歩を踏み出しやすくなるはずです。

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