賃上げ促進税制(給与増加額の15%控除)
―人件費がそのまま節税になる時代へ―
「給料を上げたい。でも利益も減らせない」
─多くの経営者が頭を抱えるこの問題、実は税制の力で両立が可能です。
それが「賃上げ促進税制」。
国が掲げる「所得向上による経済循環」の柱として、中小企業にとって極めて実用的な節税策です。
🔹制度の概要
この制度は、給与総額を前年より1.5%以上増やした中小企業が対象です。
増加した給与額の15%を法人税から直接控除できるというもの。
たとえば、従業員全体で前年より給与総額が500万円増えた場合、その15%=75万円を法人税から減額できる計算です。
🔹対象となる「給与総額」とは
ここでいう「給与総額」は、役員を除く全従業員に支払った給与・賞与の合計額。
パート・アルバイトも含まれます。
また、「人件費の総額」ではなく、「給与等支給額」である点に注意が必要です。
さらに、要件を満たせば、控除率が加算される優遇もあります。
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条件 |
控除率 |
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基本(1.5%以上増加) |
15% |
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教育訓練費を10%以上増加 |
+10%加算(最大25%) |
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給与増加率が2.5%以上 |
+10%加算(最大25%) |
つまり、社員の給与を増やして、教育も強化する企業ほど税金が減るという設計です。
🔹「給与を上げる=税金を減らす」の具体的イメージ
(例)山形市の製造業E社(従業員15名)
前年の給与総額4,000万円
→ 今年4,100万円(+100万円増)教育研修費も昨年比20%アップ
給与増加額100万円 × 控除率25% = 25万円の法人税控除
この会社では、給与アップと人材教育がモチベーション向上につながり、離職率が下がったことで採用コストも削減。
結果的に“実質プラスの経営効果が得られました。
🔹手続きと留意点
- 決算時に給与支給額の集計を行い、「前年度比較」を明確にする。
- 法人税の申告時に賃上げ促進税制の明細書を添付。
- 対象期間は「事業年度中に支給した給与」で判断(支給時期のズレに注意)。
- 役員報酬や退職金は対象外。
この制度は税額控除であるため、法人税が少ない企業では控除しきれないケースもあります。
ただし、1年間の繰越控除が可能です。
🔹導入のポイント:
「賃上げを戦略的に」
賃上げ促進税制を最大限活かすには、「計画的に給与設計を行う」ことが重要です。
- 毎年3月決算なら、1〜2月に昇給を実施して当期内で増加額を確定させる。
- 教育訓練費(セミナー・資格取得支援など)も年度内に実施。
- 「賃上げ→法人税減→資金余力→再投資」という好循環を意識する。
つまり、“税金を払う代わりに人に投資するという発想が大切です。
🔹ケーススタディ:F社の「社員が喜ぶ節税」
山形市のIT企業F社は、賃上げ促進税制の導入により、社員全員の基本給を月1万円アップ。
教育費も倍増しました。
結果として法人税が約60万円減額され、経営者は「社員の笑顔がそのまま節税につながった」とコメント。
社員の満足度向上が業績に直結し、翌年の利益率は前年比1.3倍。
“人に投資するほど会社が強くなる──それを実感した好例です。
🔹まとめ:
「節税」から「成長投資」へ
この制度の本質は、「人件費を経費で落とす」ことではなく、人材育成を“未来への投資として国が評価するという点にあります。
給与を上げることで社員のやる気が上がり、企業の競争力が上がり、結果として税金も減る。
これこそが、国が目指す“生産性向上型節税の形です。

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