給与を上げて税金を下げる?
―「給与増加額控除」で会社も社員も笑顔に
「人件費が上がる=会社の負担が増える」と思っていませんか?
実は今の税制では、給与を増やすほど法人税が軽くなるという、まさに攻めの節税が可能です。
それが「給与増加額控除(所得拡大促進税制)」です。
中小企業にとって、社員への還元と節税を両立できる非常に有効な制度です。
☆制度の基本:給与を増やした企業に「ご褒美」
この制度は、会社が従業員への給与支給額を前年よりも一定割合以上増やした場合、増加分の一部を法人税額から控除できるという仕組みです。
目的は明確で、「賃上げを促進し、経済全体を活性化させる」こと。
つまり、社員にやさしい会社ほど税制でも優遇されるという流れです。
たとえば中小企業の場合、給与総額を前年比で1.5%以上増加させれば、増加額の15%を法人税から控除できます。
さらに一定の条件(教育訓練費の増加など)を満たすと、控除率が20%まで上がるケースもあります。
☆対象となる「給与」とは?
ここで注意したいのは、「誰の給与が対象か」という点です。
制度上の対象は雇用保険の被保険者である従業員の給与であり、
l 役員報酬
l パート・アルバイトで雇用保険に入っていない人は原則として対象外です。
したがって、給与明細の区分や雇用保険の加入状況を整理しておくことが重要です。
☆適用の流れ(実務ポイント)
l 前年と当年の給与支給総額を比較 源泉徴収簿や賃金台帳をもとに、対象従業員の給与を合計します。
l 増加率を算出 前年より何%増えたかを計算します(
例:前年1億円 → 当年1億200万円 → 増加率2%)。
l 法人税額控除額を算出 増加額200万円 × 15% = 30万円の法人税控除。
このように、支給額が増えるほど控除額も増えていきます。
☆山形市の中小企業C社のケース
山形市内でリフォーム業を営むC社は、コロナ禍の反動需要を見込み、職人の給与を前年比3%引き上げました。
結果、給与総額の増加分が約400万円となり、その15%=60万円を法人税額から控除。
社員のモチベーション向上に加え、税負担も軽くなったことで、まさにウィンウィンの結果となりました。
☆教育訓練とセットでさらに節税!
給与増加額控除の上位制度として「人材確保促進税制」や「人材投資促進税制」があります。
これらは、教育訓練費を前年度より増やした企業をさらに優遇する仕組みです。
たとえば、研修会や外部講師によるスキルアップ研修費用なども対象となるため、「社員教育に投資して税金も減らせる」一石二鳥の制度です。
☆制度活用の注意点
申告時に「所得拡大促進税制の明細書」を添付する必要があります。
適用漏れが多いのは「雇用保険未加入者を含めて計算してしまう」ケース。
控除額は法人税額の20%を上限としており、全額控除できるわけではない点に注意。
また、賃上げを形式的に見せかけて賞与で一時的に増やすなどの方法は、税務調査で否認されるリスクがあります。
継続的な賃上げを意図している制度であることを忘れずに。
☆専門家のアドバイス
この控除は「人件費が上がっても、利益を減らさずに社員を大切にする企業」を支援するものです。
単なる節税テクニックではなく、「人への投資」=「未来への投資」と捉えるのが正解です。
特に中小企業では、離職率の低下や採用競争力の向上にもつながるため、「税金を減らすよりも人を育てる」という経営理念と非常に相性が良い制度です。
☆まとめ
給与増加額控除は、社員の笑顔が増えるほど税金が減る制度。
賃上げを義務ではなくチャンスと捉え、制度を味方につけることで、会社の未来と社員の安心の両方を守ることができます。

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