雇用を増やして節税!
―「雇用促進・教育訓練費の税額控除」で人と会社が共に育つ
中小企業の成長に欠かせないのは「人材の確保」と「人材の育成」。
実はこの2つを同時に進めることで、税金の軽減まで実現できる制度があるのをご存じでしょうか?
それが、「雇用促進・教育訓練費に対する税額控除」です。
つまり、社員を増やし、教育に投資すればするほど、国が税で応援してくれる仕組みです。
☆制度の目的と概要
この制度は、雇用機会の創出や人材育成を行う企業に対して、法人税額から一定額を控除するものです。
目的は明快。「働く人を増やし、学ぶ機会を広げる企業を応援する」。
少子高齢化や人手不足が深刻化する中、国としても人への投資を後押ししているのです。
大きく分けて、以下の2つの税制が柱となります。
l 雇用促進税制(地域雇用開発促進税制など) 新規雇用を増やした企業に税額控除を認める。
l 教育訓練費の税額控除(人材確保促進税制) 教育訓練費が前年より一定割合増加した場合に法人税を減らす。
☆雇用促進税制の内容
中小企業が対象地域(地方都市など)で雇用を増加させた場合、1人あたり最大60万円の税額控除を受けることができます(地域雇用開発促進税制の場合)。
具体的には、次の条件を満たす必要があります。
l 対象地域で新たに雇用を創出していること
l 雇用者が1年以上継続勤務していること
l 雇用保険の適用対象であること
たとえば、山形市で製造業を営むI社が、新規採用で3名の雇用を増やした場合、3人 × 60万円 = 180万円の法人税控除。
人材を増やすことが、直接的な節税につながる計算です。
☆教育訓練費の税額控除
もう一つの柱が「教育訓練費の税額控除」です。
これは、社員のスキルアップのために支出した費用が前年より増えた場合、増加額の10~20%を法人税から控除できる制度です。
対象となる教育費は意外に広く、
l 社内研修費(講師料・教材費など)
l 外部セミナー参加費
l 資格取得支援費
l eラーニング・
通信教育費などが含まれます。
たとえば前年の教育訓練費が50万円、今年が100万円なら、増加額50万円×20%=10万円の法人税控除となります。
☆山形市の実例:サービス業J社の場合
山形市のサービス業J社では、若手スタッフ
の接客力向上を目的に外部講師を招き、年間研修を実施。
その結果、教育訓練費が前年の40万円から80万円に増加しました。
制度を活用し、増加分40万円の20%=8万円の税額控除を受けました。
さらに同年度に3名の新卒採用を行っていたため、雇用促進税制も適用され、合計でおよそ100万円の節税効果を得ることができました。
☆手続きと注意点
l雇用促進税制 → 事前に「地域雇用開発促進計画」をハローワークに提出し、 認定を受けたうえで申告時に適用申請を行う必要があります。
l 教育訓練費の税額控除 → 教育訓練費の明細書・領収書などを整理し、増加額を明確にしておく。
どちらも後から申請では認められません。
事前の準備が最重要ポイントです。
☆専門家の視点
雇用促進・教育税制の特徴は、「人への投資」を通じて会社の競争力を底上げできる点にあります。
単なる節税ではなく、「社員を育てることが最も効率的な経営投資である」という発想に立つ制度です。
とくに地方の中小企業にとっては、人材定着・採用力アップという副次効果も大きく、 「節税+人材確保」の両輪で企業を強くするツールになります。
☆まとめ
税金を減らすことは、単なるコスト削減ではなく、次の投資の種を生む行為です。
「雇用を生み、教育で育て、税で報われる」それが、この税制の真髄です。
人を雇い、育てる努力を続ける企業こそが、これからの地域経済を支える存在。
その挑戦を国が税制という形で後押しする—この制度を活かさない手はありません。

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