再婚したら遺族年金はもらえなくなる?
子どもがいる場合の遺族基礎年金をわかりやすく解説
家族を支えていた方が亡くなったとき、残された家族の生活を支えるのが遺族年金です。
遺族年金にはいくつか種類がありますが、子どもがいる家庭で特に関係が深いのが遺族基礎年金です。
日本年金機構によると、遺族基礎年金を受け取れるのは、死亡した方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。
そのため、よくある疑問として、
「配偶者が再婚したら、もう遺族年金はもらえないのでは?」
というものがあります。
結論からいうと、再婚すると配偶者本人の受給権はなくなります。
ただし、子どもの受給権まで必ずすぐ消えるとは限りません。
ここが誤解されやすいポイントです。
- 遺族年金とは、残された家族の生活を支える公的年金
遺族年金は、家族の大黒柱などが亡くなったとき、残された家族の生活を支えるための公的年金です。
大きく分けると、国民年金に基づく遺族基礎年金と、厚生年金に基づく遺族厚生年金があります。
日本年金機構の案内でも、遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」が対象とされています。
遺族基礎年金の目的は、単に「亡くなった方の配偶者を助ける」というだけではなく、子どもを育てている家庭の生活を支えることにあります。
そのため、子どもがいない配偶者は、遺族基礎年金の対象にはなりません。
- 再婚すると配偶者の遺族基礎年金の受給権は消滅する
まず基本として、遺族基礎年金を受けている配偶者が再婚した場合、その配偶者としての受給権は消滅します。
日本年金機構も、遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組などをした場合は、年金を受ける権利がなくなると案内しています。
婚姻や養子縁組が理由で氏名が変わった場合についても、遺族年金は受けられなくなるため、氏名変更届ではなく遺族年金失権届の提出が必要とされています。
つまり、再婚した後も、以前と同じく「亡くなった夫(または妻)の配偶者」として遺族基礎年金を受け続けることはできません。
- ただし、子どもの受給権はすぐには消えないことがある
ここで誤解しやすいのが、配偶者の受給権が消えることと、子どもの受給権が消えることは同じではないという点です。
遺族基礎年金は、子どもの生活を守るための制度でもあります。
日本年金機構によると、対象となる「子」とは、18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にある子です。
そして、子のある配偶者が受け取っている間や、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子ども本人には支給されませんが、子ども自体に受給資格の考え方があることは制度上明らかです。
そのため、母親が再婚したとしても、状況によっては、子どもに基づく遺族基礎年金の支給が続くことがあります。
この場合、「再婚した本人が配偶者としてもらい続けている」のではなく、子どもの権利に基づいて支給が続いていると理解するのが正確です。
- 再婚相手と養子縁組をすると、子どもの受給要件に影響することがある
では、どんな場合に子どもの受給権が変わるのでしょうか。
特に注意したいのが、再婚相手との養子縁組です。
日本年金機構は、遺族年金を受けている方が結婚や養子縁組をした場合に受給権が失われることを案内しており、子どもに関する届出でも、養子縁組したときは年金額の変更対象になると示しています。
実務上は、再婚そのものだけで直ちに子どもの権利が消えるわけではなくても、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合には、受給要件に影響が出る可能性があるため、個別の確認が必要です。
このあたりは家族関係によって扱いが変わりやすいため、「再婚したから即ダメ」「子どもがいるから絶対大丈夫」と単純には言い切れません。
年金事務所や専門家に確認するのが安全です。
- 2026年度の遺族基礎年金はいくらもらえる?
日本年金機構によると、令和8年度(2026年度)の遺族基礎年金額は、昭和31年4月2日以後生まれの方の場合、年額847,300円です。
これに、子の加算額として、1人目・2人目の子は各243,800円、3人目以降は各81,300円が加算されます。
たとえば、子どもが1人いる場合は、
847,300円 + 243,800円 = 1,091,100円
となり、年額で1,091,100円です。
月額に直すと、単純計算で約90,925円になります。
この金額は年度ごとに改定されるため、最新額は日本年金機構の公表資料で確認するのが安心です。
- 再婚しても年金を受けているからといって、不正受給とは限らない
「再婚したのに遺族年金をもらっているらしい」
こう聞くと、不正受給ではないかと思う方もいるかもしれません。
ですが、ここまで見てきたように、配偶者本人の権利は消えていても、子どもの権利に基づいて支給が続くケースがあります。
そのため、外から見て「再婚後も受け取っている」ように見えても、直ちに不正受給とは言えません。
一方で、再婚や養子縁組など、受給権に影響する事情が生じたときは、所定の届出が必要です。
日本年金機構も、こうした場合には遺族年金失権届などの提出が必要と案内しています。
つまり、問題は「再婚したかどうか」だけではなく、誰の権利で、どの要件のもとに、どのように支給されているのかを正しく見ることです。
- 遺族年金は思い込みで判断せず、個別に確認することが大切
遺族年金の制度は、言葉だけ見ると単純そうですが、実際には
- 配偶者の権利なのか
- 子どもの権利なのか
- 再婚したのか
- 養子縁組したのか
- 子どもの年齢要件はどうか
といった事情で扱いが変わります。
そのため、周囲の話だけで
「再婚したら必ず全部もらえない」
「再婚しても子どもがいれば絶対大丈夫」
と決めつけるのは危険です。
遺族年金は、残された家族の生活にかかわる大切な制度です。
疑問があるときは、早めに年金事務所や専門家に相談し、事情に合った正確な確認をすることが大切です。

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