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その役員報酬、税務署に狙われていませんか?「過大役員報酬」のリスクと適正額の見極め方

その役員報酬、税務署に狙われていませんか?

    ― 「過大役員報酬」のリスクと適正額の見極め方

 

 「自分の会社だから、報酬は自由に決められる」と思っていませんか? 
 実はそれ、大きな落とし穴です。

 法人税法では、過大な役員報酬は損金として認められないというルールがあり、知らずに違反すると追徴課税の対象になります。

 
 経営者が「節税のつもりで報酬を増やした」結果、かえって税負担が増える―そんな事例は少なくありません。

 今回は、合法的に適正な報酬を設定するためのポイントを解説します。

 

☆なぜ過大役員報酬が問題になるのか

 会社が役員に支払う報酬は、本来、会社の経費(損金)として認められるのが原則です。

 しかし、法人税法第34条では次のように規定されています。

 「その額が不相当に高額である場合は、損金の額に算入しない。」

 
 つまり、常識的な範囲を超えた役員報酬は、経費ではなく「利益の使い込み」と見なされるのです。

 結果として、その金額に法人税が課せられるだけでなく、役員個人にも所得税が課税されるダブルパンチとなります。

 

☆過大と判断される3つのパターン

 税務署が過大役員報酬を疑うポイントは、主に次の3つです。

l 同業他社と比べて明らかに高い 業界平均が年収1,000万円前後のところ、自社だけ3,000万円を超えるなど。

l 会社の業績と報酬が不釣り合い 赤字なのに役員報酬だけ増えている場合は要注意。

l 利益調整目的の疑い 節税目的で期末に急遽報酬を引き上げたケース。

 このような場合、経済的合理性がないと判断されると損金否認されます。

 

☆適正額の目安と判断基準

 では、どのくらいが「適正」とされるのでしょうか。

 明確な上限はありませんが、次の3要素で判断されます。

判断要素

内容

会社の利益水準

経常利益の10〜20%が報酬総額の目安。

業務内容と責任の程度

複数役員がいる場合は職務分担に応じて按分。

他社比較

同業種同規模の役員報酬平均と照らし合わせる。

 

 また、社会保険労務士や税理士の間では、

「報酬:役員退職金:配当 = 5:3:2」程度のバランスを意識するのが良いとされています。

 

☆山形市の事例:製造業R社のケース

 山形市の製造業R社では、社長が業績好調を理由に役員報酬を年間2,400万円に引き上げ。 しかし、同業他社の平均は1,200万円前後で、利益率もそれほど高くありませんでした。

 結果、税務調査で800万円が過大報酬として損金不算入に。 法人税
地方税を合わせて約250万円の追徴課税を受ける結果に。
 その後、顧問税理士の助言で報酬体系を見直し、報酬を月100万円、決算賞与を40万円に分けることで、税負担を適正化しつつ実質手取りを維持できました。

 

☆節税と適正のバランスを取る方法

l 定期同額給与の原則 役員報酬は毎月同じ額で支給しなければ損金算入できません。

l 事前確定届出給与を活用 賞与を支給する場合は「支給時期と金額」を事前に税務署へ届出しておく。

l 役員退職金の併用 退職金は退職所得扱い(1/2課税)で節税効果が大きく、報酬よりも有利。

l 中期的な報酬設計 業績変動を見越し、3〜5年スパンで報酬を平準化する。

 これらを組み合わせることで、税務署に否認されない合法的な節税が可能になります。

 

☆専門家の視点

 役員報酬は、節税だけでなく経営の姿勢を映す鏡です。 
 社員や金融機関も「経営者の報酬の妥当性」を見ています。

 特に中小企業では、過大報酬が原因で融資審査にマイナス影響を及ぼすケースもあります。

 行政書士税理士としては、「報酬を上げる前に、利益と社会的妥当性のバランスを必ず検証すること」―これを強くおすすめします。

 

☆まとめ

 過大役員報酬の否認は、税金だけでなく信頼を失うリスクを伴います。

 「節税はいいが、脱法ではいけない。」

 利益と報酬のバランスを保ち、将来の退職金や配当も含めた長期的な報酬戦略を立てることこそ、本当の意味での賢い節税です。