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未来の株価を今のうちに移す ストックオプションで後継者に利益を先渡しする承継戦略

【未来の株価を今のうちに移す】

  ストックオプションで後継者に利益を先渡しする承継戦略

 

 「会社の株価が上がるのはいいこと。でも、上がりすぎると相続税が大変…」 ―そんなジレンマを抱えるオーナー社長におすすめなのが、「ストックオプション制度(新株予約権)」を活用した事業承継スキームです。

 これは上場企業だけの話ではありません。

 実は中小企業でも導入可能で、未来の株価上昇益を後継者に移すことができる、極めて賢い方法なのです。

 

☆ ストックオプションとは?

ストックオプション(Stock Option)とは、「将来、あらかじめ決めた価格で株式を取得できる権利」のことです。

 たとえば、

現在の株価:1株=1万円

将来の予想株価:1株=3万円

権利行使価格:1万円

後継者(または役員)は、将来3万円に値上がりしても、1万円で株を取得できるわけです。 この差額の2万円が、将来の利益移転=節税につながります。

 

☆ なぜ事業承継対策になるのか?

 事業承継のタイミングでは、「株価が高い=税金が高い」という構図が最大のネックになります。

 しかし、ストックオプションを使えば―

l 将来の株価上昇益を、今の低い評価のうちに後継者へ付与

l 現時点では課税なし(非課税条件付き制度もあり)

l 実際に株を取得するのは将来(権利行使時)

 つまり、「今は低評価で、将来の価値を渡せる」という非常に合理的な仕組みなのです。

 

☆ 実際の活用シナリオ

 たとえば、後継者である息子がまだ役員見習いの段階。

 現時点での自社株価は1株あたり1万円ですが、今後事業が拡大して株価が3倍になると見込まれています。

 ここで息子に「ストックオプション」を付与。

 10年後、株価が3倍に上がった時に1万円で取得すれば、会社の成長分を課税を抑えて承継できます。

 さらに、後継者が会社にコミットして働くことで、「モチベーション向上」「経営への責任感強化」にもつながります。

 

☆ 注意点と税務の扱い

 ストックオプションには税制適格と非適格の2種類があります。

l 税制適格ストックオプション → 権利行使時に課税されず、売却時に譲渡所得として課税(20%前後)

l 非適格ストックオプション → 権利行使時に給与課税(最高55%)の対象

  
 節税を目的とするなら、当然ながら「税制適格型」の条件を満たす設計が重要です。

 そのためには、付与時権利行使時譲渡時の書類整備を徹底しなければなりません。

 

☆ 中小企業が導入する際のコツ

 中小企業でストックオプションを活用する場合は、以下のポイントを押さえておきましょう。

l 株主総会での承認と定款変更が必要

l 後継者役員に限定して付与(従業員型も可)

l 公認会計士税理士による株価評価を添付

 さらに、親族承継の場合は「恣意的な贈与」と見なされないよう、適正な行使価格の設定が不可欠です。

 

☆ まとめ

 ストックオプションは、「未来の会社の成長分を、今のうちに移しておく」ためのツール。

 後継者のモチベーションを高めながら、税負担を抑えて事業承継をスムーズに進められます。

l 現在の株価が低いうちに付与

l 税制適格条件を満たして設計

l 将来の上昇益を後継者に移転

 この3つを意識するだけで、節税しながら次世代育成という理想的な承継戦略が可能になります。