親族間の低額賃料は危険!同族貸家の節税ルール
「親名義の家を子どもに安く貸しているけど大丈夫?」 「家族間だから家賃は半分でもいいよね?」
ー実はそれ、税務上は危険信号です。
親族間の低額賃貸は、「節税目的」とみなされやすく、家賃の設定次第で課税リスクや特例の適用除外になることがあります。
今回は、知らないと損をする「同族貸家のルール」を整理します。
1. なぜ親族間賃貸が問題になるのか
税務署は、親族間の取引を常に「実態があるかどうか」で判断します。
特に不動産賃貸では、
l 家賃が相場より極端に安い
l 契約書がない
l 賃料の受け渡しが現金で曖昧といったケースが多く、「形式だけの貸し」とみなされることがあるのです。
この場合、不動産所得の経費が認められない、あるいは相続税評価で貸家扱いが否認されるなど、節税どころか逆効果になることもあります。
2. 相場より安すぎる家賃のリスク
相場の半分以下の家賃設定だと、税務上「低額譲渡・贈与」として扱われるおそれがあります。
たとえば、相場家賃が10万円のところ、親が子どもに5万円で貸している場合、差額の5万円分を「贈与」と見なされる可能性があるのです。
さらに、相続税の計算上も、貸家として評価減を受けるには「賃貸実態」が必要。
相場とかけ離れた家賃では、評価減が否認されることがあります。
3. 認められる合理的な家賃設定とは
相場の7割程度を目安に税務上「通常の取引」と認められるラインは、概ね市場家賃の70%以上。
l ✅ 契約書を作成する 賃貸借契約書を公正証書または書面で交わし、期間・家賃・支払方法を明示しておく。
l ✅ 毎月の振込記録を残す 現金手渡しではなく、振込履歴で証拠を残すことが重要。
l ✅ 修繕・光熱費の負担区分も明確に どちらが負担するかを決めておかないと、後々トラブルのもとに。
4. 実際のケース
山形市で戸建てを所有するAさん(70代女性)。
息子夫婦に月3万円で貸していましたが、周辺相場は月7万円。
相続税申告の際、貸家の評価減(約30%)を適用しようとしたところ、「家賃が安すぎて実質的な賃貸関係とは認められない」と指摘されました。
その後、賃料を5万円に見直し、契約を正式に締結。
以後、振込記録を残すことで、税務署からも貸家実態ありと認定。
結果として、相続税評価額を約600万円下げることができました。
5. 名ばかり貸家の典型パターン
☆ 同居しているのに賃貸契約だけ結んでいる
→ 実質は賃貸でなく「居住の便宜供与」。評価減対象外。
☆ 家賃をもらっていない
→ 実態のない貸家扱い。
☆ 相続直前に形式的に貸したケース
→ 駆け込み対策と見なされ、評価減を否認されることも。
税務署は、「契約から入居、支払いまでの実態」を総合的に見ます。
書面とお金の流れが鍵です。
6. 行政書士からのアドバイス
親族間の賃貸は、「普通の取引として成立しているか」がすべてです。
つまり、第三者に貸しても同じ条件であれば問題なし。
山形のように親子近居が多い地域では、「親の家を子世帯がそのまま使う」ケースが一般的。
その場合も、
l 家賃の設定根拠をメモしておく
l 契約書を作る
l 振込で支払うこの3点を守れば安心です。
特に将来の相続を見据えるなら、「形式上の賃貸」ではなく「実質的な賃貸」を整えておくことが、最良の節税対策になります。
7. まとめ:
家族間こそきちんと契約が最大の節税
l ✅ 相場の7割以上で家賃を設定
✅ 契約書・振込記録で実態を証明
✅ 形式だけの貸し借りはNG
「親子だから大丈夫」ではなく、親子だからこそ明確に」。
信頼と税務の両方を守るために、家族間契約を公正にすることが最大の防衛策です。

コメントをお書きください