· 

地役権・私道負担の評価反映(見落とされがちな土地のマイナス要素)

地役権私道負担の評価反映(見落とされがちな土地のマイナス要素)

 

1. 「この土地、実は他人のために使われている?」

 土地の評価と聞くと、「広さ」や「立地」ばかりに目が行きがちですが、 実はそれ以上に重要なのが、他人の通行や利用に制約があるかどうかです。

 たとえばー

l 自宅の前の道路が私道で、近隣も通行している

l 敷地の一部に上下水道管電柱が通っている

l 隣家の通行路として土地を貸している

 こうした場合、土地の所有者には使用制限(地役権など)があり、その分、利用価値が下がる=評価も下がるのです。

 これを正しく反映しないと、「本来より高く評価されてしまう」可能性があります。

 

2. 地役権とは?

 地役権(ちえきけん)とは、ある土地(要役地)の便益のために、他人の土地(供役地)を使う権利のことです。

 たとえばー

l 自分の家へ行くために、隣の土地を通らないといけない(通行地役権)

l 自宅の下を他人の下水管が通っている(排水地役権)

 このような場合、地役権が設定されている土地(供役地)は、自由に使えない部分があるため価値が下がります。

 税務評価上も、地役権が設定されている土地は、「地役権により利用が制限されている」として一定の減額評価が可能です。

 

3. 私道負担とは?

 もう一つの代表的なケースが「私道(しどう)負担」。

 これは、住宅地などで敷地の一部が道路として近隣住民の通行に使われている土地のことです。

 私道部分は、自分の土地でありながら、他人も自由に通行できるため、

l 建築制限(上に建物を建てられない)

l 管理義務(舗装除雪水道工事など)

l 将来的な補修費負担

 などの不利益があります。

 税務上も、私道負担部分は「利用価値が限定的」であるため、面積按分または評価率の減額が認められます。

 たとえば、全体面積の20%が私道であれば、その部分を除外して評価するのが原則です。

 

4. 評価への具体的反映方法

 地役権私道負担を適正に反映させるには、次のような手順を踏みます。

l 登記簿の確認 → 登記簿の「権利部(乙区)」に地役権設定登記があるか確認。

l 公図現況図との照合 → 実際の通路や配管経路がどの範囲を通っているか把握。

l 評価補正の算定 → 地役権設定部分については、通常の評価額の20〜30%減が一般的。

  私道負担部分は、建築不可のため評価から完全に除外することも。

l 証拠書類を残す → 写真測量図契約書などを添付して、税務署に根拠を示す。

 

5. 実例:山形市の住宅地の場合

 山形市中心部の住宅地で、敷地の一部(約30㎡)が近隣の通路として使われていたケース。  

 登記上も「通行地役権」が設定されていました。

固定資産税評価額 = 4,000万円うち地役権部分 30㎡(全体200㎡の15%)

→ 評価額 4,000万円 ×(1-0.15×0.3)= 3,820万円約180万円の減額効果です。

 評価額が下がることで、相続税固定資産税の両方が軽減されます。

 

6. 注意点:形式だけの主張は通らない

 地役権や私道負担は、実態がないと認められません。

 「昔から通ってるだけ」「口約束で使わせている」などのケースでは、法的権利が存在しないため、評価減は否認されることがあります。

 税務署は「登記」「契約」「現況」の3点を重視します。

 評価減を主張するなら、図面と契約書で裏付けることが必須です。

 

7. まとめ

l 地役権や私道負担は、土地の価値を下げる要素

  登記契約現況を整え、根拠を明示すれば評価減可能

  放置せず、早めに整理是正しておくことが節税にも安心にもつながる

l  土地の価値を上げるのは手入れ。 下げないための工夫は、書類と証拠。

 

 見えない権利関係を整理することが、最も確実で安全な相続対策です。